アクティブ・ラーニング型鑑賞授業
Questa e' la relazione di alcuni workshop alla scuola elementare di Ehime, a sud-ovest del Giappone, in collaborazione con vari insegnanti. Abbiamo partecipato ad una lezione di "osservazione di lavori d'arte" legata alla ricerca di una degli insegnanti con metodo Active Learning (apprendimento attivo).
2017年10月、愛媛県西条市立の小学校と中学校にてワークショップを行いました。ブランコにとって4度目の西条訪問。西条市との関係は、宮山が10年前のミラノ日本人学校の登山遠足通訳の機会に、三浦先生と出会ったことが契機となります。ゲストティーチャーとして初めてのワークショップをご一緒させてもらって以来、様々な子供達との出会いの場と実験の機会を与えてもらいました。
今回は、壬生川小学校3−4年生のアクティブ・ラーニング型鑑賞授業を中心に、3年生との造形授業、5年生との社会科造形授業、加えて西中学校3年生との造形授業と、多彩なワークショップを実施。今回は、まず図工の鑑賞授業をレポートします。
「学び合い学習」としてのアクティブ・ラーニング型鑑賞授業:
2020年は、学習指導要領が大きく変わる教育革命の年と言われています。アクティブ・ラーニングといわれる「主体的、対話的で深い学び」によって、問題を発見し解決していく能力を培うことに重点が置かれています。これからの多文化共生時代、テクノロジー社会を生き抜くには、かつてのような1つの解答を暗記する詰め込み型の教育では成り立たなくなっているためです。
アクティブ・ラーニングとは、本来は大学の学びのために使われた言葉ですが、ここ近年は小中学校での取り組みにも積極的に採用されています。今回は、三浦先生の担当する3年生を対象に、図工の川島先生の研修授業としてワークショップが行われました。
約半年間、「そら」をテーマに、造形や詩作を通して各自のイメージを具体化してきた子供たち。今回の授業では、生徒の作品、そして講師の作品を鑑賞し、作品を楽しむためのポイントを見つけ出し、話し合いました。ICTとしての電子黒板を通して見る作品、そして実物の作品にふれ、生徒自らが言葉を発し、交わし、全体で学び合いを行うという試みです。
作品を感じたままに相手に伝え、共有する:
川島先生から最初に質問がありました。「美術館で作品を楽しむためのポイントとは?」
そこで、本物の作品を直接目の前にしたときは、目で全体やディテールを見るのはもちろん、5感を発揮して鑑賞する提案をしました。5感、5つの感覚って何?という話し合いから始まり、実際の作品鑑賞に入ります。
まずは電子黒板を通して、ボッフェッリによる群馬の木造小屋内を覆った作品「Il mondo e' una grande Casa」の一連の写真を見ていきます。これはなんだろう?と班ごとに分かれて話し合い、その後、発表して意見、視点を共有します。この空間に居たとしたら、どんなかんじだろう?と5感の想像を膨らませます。そしてボッフェッリ自らの作品解説。知らない言語であるイタリア語のリズムに耳を傾け、イタリア人が私達の国で制作した経験談を聞きます。
その後、実物の作品鑑賞として、宮山の「"ここ"と"そこ"のあいだ」の布をくぐったり、触れたり、匂いをかいでみたり(最初の写真↑)。どちら側が「うち」でどちら側が「そと」に見えるか、それはなぜか、意見交換を行いました。また、電子黒板を通して、宮山のリサーチ「奥の空」をテーマにしたイタリアでのインスタレーション作品も鑑賞。「"ここ"の向こう側の"そこ"としての空の形」について話し、生徒たちが取り組んできた「そら」のリサーチとのリンクを探ります。
最後に、ボッフェッリがインドで制作したシルクスクリーン布作品を間近で鑑賞。これは何の形だろう?とみんなで考えました。
川島先生の授業では、「なににゅねノート」という発見をメモするノートを各自が持っているのが印象的でした。What(なんだ?) knew(わかった)として、気付きや感じたことを文字で客観的にレポートする作業は、その後の人生にとっても役立つのではないでしょうか。
今回の川島先生の研修授業では、私たち講師の参加に加え、20名以上の先生方が見学にいらしている中で行われました。生徒たちもいつもと違った環境に緊張を感じつつ、予想以上に積極的に発言していたのが印象的。そして彼らの言葉から、私たちも多くの視点を学びました。一方通行ではなく、話し合い、意見を共有するアクティブ・ラーニングの可能性を実感したひとときでした。
その他、小学校で行った幾つかのワークショップも簡単にレポートします。
「そらを着る」衣装作りワークショップ:
三浦先生たちの3年生は、11月の学習発表会にむけて、今まで行ってきた「そら」のテーマをコンテンポラリーダンスや詩の朗読などを交えた舞台作品にするとのこと。そこで、衣装作りのワークショップも実施しました。
ここ数カ月、そら-空-について研究してきた子供たちと一緒に、空の「形」について考えます。 「形」とは、見たり触ったりしてとらえうる「もののありさま」。 触ることはできなくても、刻一刻と変わる空を見て、その「形」に思いを馳せるこ とはできます。雲との関係性、飛行機や鳥に横切られた様子。手前にあるものに切り取 られた形。ほかとの関係性によって型取られる空を表現してみます。 「形」と「色」によって空を表現し、最終的に全身で着られるような衣装を作ります。
まずはTシャツ表面に、段ボール紙のステンシルやマスキングテープを使って、スポンジで空色を彩っていきます。
完全に乾いた後日に、先生方の指導の下、裏側の空も描かれる予定。舞台のテーマに合わせて、嵐、雨、光の空模様が形作られ、彩られていきます。
身体を覆い動きが伴ったとき、これら空の形がどのように立体的に見えるのか、今から楽しみです。
社会科の工業製品開発ワークショップ:
先生方からの提案で、5年生を担当する吉田先生の社会科研修内容である「工業製品」についてお話とワークショップ指導も行いました。イタリアのmade in Japanや、私たちがデザインに携わった工業製品(サングラス、化粧品)にまつわるお話をした後、架空の飲み物をデザイン開発するワークショップを実施。
短い時間ながら、ペットボトルを用いてそれぞれ個性的な飲み物を開発していました。
様々な教師、子供たちと触れ合うオープンな時間:
今回の壬生川小学校でのワークショップは、複数の先生方や学年の子供たちと交流するよい機会となりました。先生方も日常の忙しい時間をぬって、各自の研修テーマを深めており、その一端を協力できたことは嬉しいことでした。
今後、少子化や国際化によって、学校のあり方は、旧来の方法から方向転換せざるを得なくなるでしょう。少子化時代には、日本でも障害をもった子供たちと一緒に学ぶインテグレーション/インクルージョンが進んでいくことを望みます。多様な子供たちのニーズに合った教育を行うためには、旧来の教師任せではなく、外から専門家を招いたり、保護者のみならず地域社会と連動したりして、学校がよりオープンになっていく必要があります。学校が開かれた場となっていくことで、忙しすぎる教師の負担減少や閉鎖的な人間関係を解消していく必要があると感じました。現にイタリアをはじめヨーロッパでは、そうやってインクルーシブな教育を実現しています。
外部への門戸を開いて私たちブランコや様々なゲストを招いている壬生川小学校の先生方の姿勢に敬意を感じます。現在の教育現場を垣間みる、素晴らしい機会となりました。
参考リンク:
-アクティブ・ラーニング http://www.core-net.net/g-edu/issue/5/
協力:
愛媛県西条市立壬生川小学校
0コメント